「これでいいのか 非正社員の実態」
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【第1回】

「31万円以上可」って本当?
求人誌やハローワークの募集条件に気をつけよう

 

派遣や業務請負ではらくと、求人広告やハローワークに出ていた賃金・労働条件と実際の条件がくいちがっているケースがよくある。
 日研総業の場合、自社発行の求人誌「Job NAP」で、「東京都日野市 自動車製造のスタッフ」、「月収310,000円以上可」とひんぱんに掲載している。



「ほんとう?」と思う人がよほど多いらしく、わざわざQ&Aのコーナーを設け、こんな言い訳をしている。


 「円以上可」って何かあやしい・・・」
 記載の月収は「当社スタッフが実際もらっている給与」を目安にしているんだよ。


 しかし、これは明らかにおかしい。。
 問題の日野自動車本社工場で実際にはたらいているCさんの場合をみてみよう。
 Cさんは、この工場で働きだして1年半。無断欠勤や事故はなく、普通にはたらき続けている。時給は1,150円。いぜんは皆勤手当や食事補助があったが、いまはなくて、基本給だけだ。
 そのCさん。1週間交替で日勤と夜勤をくりかえし、平日の残業を月20時間、深夜残業を60時間ほど、しかも休日出勤も1日やって目一杯はたらいても、月収は過去10カ月の平均で総額243,000円程度にしかならない。31万円には7万円も足りない。


(↓Cさんの賃金明細)



では、Cさんが31万円以上手にするにはどれくらいはたらく必要があるだろうか。

試算1)日勤だけで夜勤をしない場合
 基本給  @1,150円×7.92時間×20日=182,160円
 残業手当 @1,150×1.25×89時間=127,982円
 合計   310,142円
  →「残業を月89時間=毎日4時間以上」やらないと31万円にならない。
  →ちなみに、厚生労働省の過労死基準は、月平均の残業が80時間を超えると危険信号だとしている。
 (厚生労働省「過重労働による健康障害を防ぐために」)

試算2)昼夜二交替の場合(昼夜それぞれ10日ずつ)
 基本給  @1,150円×7.92時間×20日=182,160円
 深夜手当 @1,150×0.25×60時間=17,280円
 残業手当 @1,150×1.25×77時間=110,726円
 合計   310,166円
  →この場合も、過労死基準に抵触する水準のはたらき方だ。

 こうしてみると、日研総業の求人は誇大広告もいいところ。
 そもそも、実際に31万円以上もらっているスタッフって、何人いるの?
 日研総業に答えてほしいものだ。

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